”学童保育で思わぬ事態…テレビに群がり、黙々とゲームする子どもたち”
こんな見出しを「AERA 2016年5月30日号」で目にしました。
民間学童保育も様々で、テレビや家庭用ゲーム(TVゲーム)が出来るところは正直稀なケースといって良いでしょう。ただ18時前後に「DVD鑑賞タイム」と称してテレビの前に子どもを集め子どもだけの時間を作る施設は実際にあります。
個人的には民間学童保育において、DVD鑑賞会やゲーム等はよほどの事情がない限りは避けたいところです。ただテレビで映像やSkypeを活用し、イベント等を行うことは積極的であるべきだと思います。
鑑賞会等を行っている施設の「保護者向け」の言い分としては、「家庭と同じような雰囲気、くつろげる場所にするため」と言ったところ。ただ保護者の気持ちを考えると「DVDを観て過ごす時間に高額な費用を支払う価値はあるのか」という気持ちになるのはよく理解出来ます。
ただ「施設事情」としての言い分としては、「子どもの息抜き」と「効率化」と2つあります。
少し前置きが長くなりますが、そもそも学童保育とは「生活の場」としての役割を担う場所でした。ここ10年ほどの間に企業運営による学童保育が登場しましたが、「生活の場」としての機能に重きを置いていました。ところがここ3~4年の間に参入事業者が増え、エリアによっては民間同士で競合するケースが出はじめました。その際他社と差別化するために教育や運動等のプログラムを持った事業者が増えました。結果的に保護者の目も「生活の場」だけでは物足りなさを感じるようになり、「有意義な放課後に」といったニーズに変化しはじめました。
その結果何が起こったか。子どもにとって学童保育は「窮屈な放課後」へと変化しつつあります。
学校での集団生活。放課後になりようやく解放されたと思えば今度は学童保育独自のプログラムでパンパンの時間の中に身を投じることになり、良くも悪くも疲労はピークに。そういった中でスタッフは帰宅直前のわずかな時間にDVD鑑賞会等で子どもの息抜きの時間を作ります。逆に言えば鑑賞会までにかなり濃密な時間を過ごしていると言えます。ただ入室してからずっとフリーでテレビが観られる、漫画が読めるといった環境はもちろんNGです。
また鑑賞会等が行われやすい夕方は「送迎サービス」や「夕食提供」、「保護者対応」とスタッフにとっては鬼門となる時間帯になります。
すぐに保護者のお迎えのない、また帰れない子どもと時間を共にするにはバタバタとしており、つい「鑑賞会」をやってしまうケースがあります。ただ不思議にも騒いでいた子どもらはテレビの前に集まり、ピタリと静かになる。室内で子どもらがバラバラと活動すれば、大人の配置を厚めにすることになりますが、DVD効果で大人が関わる必要はほとんどなくなります。この静寂を知ってしまうとスタッフはDVD観賞の中毒になります。
いずれにせよ、「子どもにとって有意義な時間であること」が重要。運営者や保護者の想いが良くも悪くも強くなり、子どもへの一方通行の愛情になってしまってはさすがに子どもたちも疲れてしまいます。主役が子どもたちであることを忘れてはいけませんね。